第1章 時のおとずれ

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駐輪場で静流と再会したあと、彗は龍太郎だけには〝ホシ子〟とあだ名のついた彼女と昔、隣同士で住んでいたことを伝えていた。 ただし学年が違う上に接点がないため自然に顔を合わせる機会はなく、龍太郎は未だ彼女の顔をぼんやり思い浮かべる程度だ。 学校内において多少噂になるような女の子は網羅しているが、そこまで印象に残る顔立ちでもなかったので、龍太郎の記憶には残らなかったのである。 「ホシ子って、確かマジメっ子の部類でねー?俺、基本おカタイのニガテー」 「タローは、遊んでくれないやつは嫌いだもんな~」 「タロー言うな。龍太郎だ」 肩を揺らした彗を眺めれば、俯き加減で表情が分からず窓から入った日差しが彼の髪を透けさせる。
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