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それもあまり意味のあるものではなかったということだ。
龍太郎は、ふぅんと唇を突き出した。
「今のでホシ子に興味がわいた。次、俺もいく」
「え、やだ。お前いると女の子がついてくるし、うるさくすると静流に怒られんだろ。…言っとくけど、静流にちょっかい出すなよ」
「だーいじょうぶだって」
彗の露骨な渋面を面白がる龍太郎は喉を鳴らし、まだぶつくさ文句を言い続ける彼を新鮮な気持ちで見やった。
ざわつく教室で二人の会話に聞き耳を立てる者はいないが、それでも龍太郎は彗にすら聞こえない声で呟く。
おのずと細められた瞳は彗から空へ移り、口元はニンマリと緩められた。
「俺は、むしろ相方のが興味あるなー。入ってから、たった数日で風紀委員を抜けた〝柴田月子〟に、ね」
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