第2章 待ち人のおとずれ

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二人の出会いは高校の入学式だ。 鏡の中の自分と対面したかのような感覚に陥ったそれは、龍太郎にとって今でも印象に残っている。 伏し目がちに、それでも背筋をのばして迷いなく歩いていた彗を見つけた時、自分の中で抱えている想いを共有しても良い相手だと思ったのだ。 中等部から内部進学した龍太郎と、受験組の外部生である彗は、それぞれ身を置いていた環境が彼らを隔てることもなく、すんなりと打ち解けることができたから、それ以降どちらともなくつるむようになっていた。 彼らは高校生活の二年間が偶然にも同じクラスで、最後の一年もまた同じクラスだ。 成績も運動神経も容姿も、周囲から同じ程度の評価であった二人は、二人でいるからこそ相乗効果で日常を楽しめた。 それはこれからも変わらないと龍太郎は予感しているし、期待感は心を弾ませるもので高校生活に満足している。 本日相棒の新たな一面を見て、あらためて龍太郎はそう思うのだった。 壁際に身をあずけ、ポケットの中のガムを手持ち無沙汰にいじりながら、首をかしげる。 「おもしれー…アイツ、マジ全然相手にされてねーのな」
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