第2章 待ち人のおとずれ

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「いんやーうちのクラスのヤツから聞いた。すげー変わった子がいてるって。何でも、初めての委員会の集まりで、速攻辞める発言をして、しばらくメンバーに穴あけたヤツがいる、って」 「………」 「俺はよく知んねーけど、そいつ、学年首席っつーじゃん?もっとガチガチの優等生かと思いきや、なかなかやるじゃん、って思ったらキレー系女子って聞いたもんだから。一度顔でも拝んどこーって」 月子の心境が後悔なのか羞恥なのか罪悪感なのか、どの感情に属するものであるのか龍太郎は見極めようとしたが、彼女の表情は鼻白む程度で、それ以上微動だにすることはなかった。 龍太郎としては急につまらなくなる。 全校生徒の模範生が、自分自身を恥じてか、もしくはどんな種類のそれであったとしても構わないから、歪んだ顔が見たい。 テストの点数がいいってだけで大手を振っているコイツらは、溜飲を下げる相手としては最適で、大抵が世間から冷たい目で見られるのを自分の汚点だと考える節があるはずなのだが。
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