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「なんだ、月子ちゃんって人に迷惑をかけても、自分がやりたくないんだからいいってタイプね。風紀委員に立候補するくらいだから紀律やルールが好きで、責任感強いんだと思ったけど」
すでに龍太郎も月子も互いに互いを見ていなかったが、相手の感情の変化を少なからず期待する龍太郎と、時が過ぎるのを坦々と淡泊に認識しているだけの月子とでは、間を通り過ぎる風を境に雲泥の差があった。
とてもじゃないが近寄りがたい雰囲気であったことが影響してなのか、廊下を通る者は誰一人としていなくなる。
それでも相対する存在はいないとし、月子と龍太郎、二人の視線が絡むことはなかった。
「もうっ、だから無理なんだってば!嘘とかじゃなくて本当に時間がないのよ!」
珍しく語気が乱れた静流の声が聞こえて、月子は慌てて声のした方へ駆け寄る。
感情的になるなんて彼女らしくない。
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