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「相変わらず興味のない女の子のことは、お前の耳には全く入らないんだな」
「む…じゃ、タローは知ってんのかよ」
「彗、龍太郎に対抗しようたって無理よ。龍太郎が知らない女の子、なんていないんだから」
唇をとがらせて龍太郎を睨みながら、彗は周囲の女生徒のうちの一人を捉える。
肩に添えた手で瞳を逸らさせず、腰にまわした手で退路を断つと、ゆっくり瞬きをした。
「皆知ってるのに、ずるい。俺にも、教えて…?」
至近距離でお願いされた女生徒は赤面し、動けずにいたが他の女子が敏感に反応したので龍太郎はほくそ笑む。
彗と行動をともにすると必ず見られる、龍太郎のお気に入りの光景の一つだ。
次から次へと女の子達が口を開く。
「彗!あたし知ってるよ!ホシ子はね、二年の松浦さんのことで、年の離れたキョーダイの為に毎日早く帰ってるって話だよ!」
「まだ幼稚園に行ってるくらい小さいって聞いたことある!」
「放課後は家の手伝いをしないといけないから部活も入ってないって!」
怪訝な顔をして彗は言った。
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