22人が本棚に入れています
本棚に追加
「松浦ホシ子さん…?」
一斉にあたりが静かになる。
下級生のことなので、其の実詳しい事を知る者はいなかったのだろう。
互いの顔を見合わせては、疑問符を浮かべて黙り込む。
ただ一人、龍太郎だけが彗の疑問を解消した。
「ちがうよ。松浦静流さん、だよ」
「………ふうん」
彗の気のない返事に幾分拍子抜けした龍太郎は、恨みがましい視線で彼に訴えたが、当人はどこ吹く風だ。
みるみる興味がなくなったようで、話題に入ってこなくなった彗を先頭に、集団は廊下を前進することになる。
すれ違う生徒に知った者がいれば挨拶を交わし、教師にはとりあえずと頭を下げる。
それでも後続の女子は〝ホシ子〟の話題を続けている。
「ほんとに、何でホシ子ってアダ名なんだろねー」
最初のコメントを投稿しよう!