幻の虫

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 クリスの所属するハンターズギルドに特殊な依頼が舞い込んだ。    依頼主は二十代の青年でペン職人の見習いだった。彼の父は、ペン職人をする傍ら、一級ハンターとして活躍していたそうだ。活躍していたと言うのは、彼の父は現在、全身打撲で復帰の見込みが無いという事だつた。    一級を持つ彼の父をそこまで追い込んだのは、一匹の幻の虫だという。その名をアカカブトと言った。依頼主は父の敵としてその虫の討伐を頼みに来たのだ。   「国営に頼むには幻の虫故に金がかさむ。個人のギルドではマスターがドラゴンハンターであるここが一番信頼がある」    との、彼の父の言葉を信じてここへ来たという。ギルドのメンバーは幻の虫発見の知らせに心踊らせた。    国営や他には絶対にバラすな。  我々が他の知らず知らずの内に捕獲する!    マスターのその言葉は密猟を意味するものだった。    
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