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クリスは弓の技術も次第に上達してきた為、マスターから一人での狩りを任された。とは言ってもこれも練習を兼ねたマスターの依頼で、良い角の生えた鹿を一頭捕まえて来いというものだった。
クリスは早速、群れの中に一頭の手頃な鹿を発見すると、息を殺して弓を引いた。
その時だつた。ガチガチと金属のぶつかる大きな音を立てて一人の小汚ない少年が鹿の群れを逃がしてしまった。
「ふざけんなてめえ!」
クリスは怒鳴り声を上げた。少年を良く見ると、クリスより背も高く、何歳か歳上の様だった。首には爬虫類の物だろうか? 尖った歯やら爪の連なった首飾りをしている。少年はクリスの前に歩み寄って来た。
「お前、ハンターだろう?」
クリスは彼を睨み付けながら小さくうなずいた。
「けっ、金の為に動物達を狩りまくる悪魔が」
「お前達も変わらないだろう? 後片付けも出来ない獣が」
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