短編 冬のカイダン

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十一月も終わりかけ。 外では木枯らしが吹き始めているが、竹山はシャツの腕をまくり額に汗を掻いている。 「まだなんですかね~」 鳥居のセットしている髪の毛が、汗で落ちていた。 「…何で、うちだけ、こんな事に…」 頬にガーゼを貼った風間は、頭皮にハンカチを乗せている。 「…なあ、お前、暑くねえのかよ」 「暑いですよ」 隣でいつもと同じ顔をした、ジャケットをひとり脱いでないリリコ。 竹山が部屋の奥を見ると、望月はタンクトップから鍛えた身体を見せていた。
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