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「いったーい、秋山さんってサディスト?」
そのときである、
七恵の額から汗が零れた刹那、見慣れたやつの姿が満月を背後に立っている。
声が、震えた。
「え…えっちゃん…」
「あはは、七恵ぇ…驚いた?」
そこには、斧で腹を引き裂かれたはずのえつ子が、
何事もなかった様子で七恵を見る。
引き裂かれた腹は、なぜか手術のように大きな傷跡を残して、修復していた。
「ちっ、しぶといな雌豚」
「うふふ、秋山さんほどでには負けるわ。
さぁ、七恵を渡しなさい…久しぶりに生きた人間を楽しめるんだもの」
生きた人間?
その言葉に、七恵の背筋はぞっと震える。
「えっちゃん…なにいって…」
「七恵、どうみたって斧で私身体を二つに引き裂かれてて普通じゃないの。
でも、安心してすぐ七恵も、こうなるはずだから!!!」
刹那、物凄い勢い七恵の髪の毛をえつ子は掴むと、そのまま地面へと押し倒す。
一瞬だったため、七恵は分け目わからずに顔面から叩きつけられ、鼻血が地面に飛び散った。
「うっ!」
「サイコーよ、七恵。
だから私のために死んでね」
制服のしたから、えつ子は鋭いカッターを手に取ると一度舌で舐めて興奮した笑みをみせる。
だが、それも空中に何かが舞うのを見てえつ子は一気に顔を歪めた。
「秋山てめぇーーーーーーー!!」
空中に浮いたそれは、カッターを握る腕…
「雌豚、七恵に傷つけていいのは、私だけよ」
そこには、血まみれの斧を、握りしめたこのはが殺意を尖らせて立っている。
刹那、満月は雲に隠れた。
「覚えてとけよ、雌豚。
世界中を、敵に回しても私が七恵を守る。
自分の命を売ってもーーーーーーだ。」
そして、再び斧が振りかざされる。
七恵は、まるでスローモーションのようにその光景を目に焼き付かせた。
親友だったえつ子は、もう…いない。
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