第1章 デッド・ライン

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「いったーい、秋山さんってサディスト?」 そのときである、 七恵の額から汗が零れた刹那、見慣れたやつの姿が満月を背後に立っている。 声が、震えた。 「え…えっちゃん…」 「あはは、七恵ぇ…驚いた?」 そこには、斧で腹を引き裂かれたはずのえつ子が、 何事もなかった様子で七恵を見る。 引き裂かれた腹は、なぜか手術のように大きな傷跡を残して、修復していた。 「ちっ、しぶといな雌豚」 「うふふ、秋山さんほどでには負けるわ。 さぁ、七恵を渡しなさい…久しぶりに生きた人間を楽しめるんだもの」 生きた人間? その言葉に、七恵の背筋はぞっと震える。 「えっちゃん…なにいって…」 「七恵、どうみたって斧で私身体を二つに引き裂かれてて普通じゃないの。 でも、安心してすぐ七恵も、こうなるはずだから!!!」 刹那、物凄い勢い七恵の髪の毛をえつ子は掴むと、そのまま地面へと押し倒す。 一瞬だったため、七恵は分け目わからずに顔面から叩きつけられ、鼻血が地面に飛び散った。 「うっ!」 「サイコーよ、七恵。 だから私のために死んでね」 制服のしたから、えつ子は鋭いカッターを手に取ると一度舌で舐めて興奮した笑みをみせる。 だが、それも空中に何かが舞うのを見てえつ子は一気に顔を歪めた。 「秋山てめぇーーーーーーー!!」 空中に浮いたそれは、カッターを握る腕… 「雌豚、七恵に傷つけていいのは、私だけよ」 そこには、血まみれの斧を、握りしめたこのはが殺意を尖らせて立っている。 刹那、満月は雲に隠れた。 「覚えてとけよ、雌豚。 世界中を、敵に回しても私が七恵を守る。 自分の命を売ってもーーーーーーだ。」 そして、再び斧が振りかざされる。 七恵は、まるでスローモーションのようにその光景を目に焼き付かせた。 親友だったえつ子は、もう…いない。
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