第1章 デッド・ライン

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真っ暗な世界 だけど、こんな世界にも星はある とても、懐かしさを感じる… だけど、私は忘れてはいけない何かを 思い出せずにいた… 私を呼び掛けるあの子… あの人は一体… ****** 「七恵ぇ、まだ怒ってるぅ?」 「当たり前でしょ!は、初めてだったのよ!ファーストキスなんだからっ!」 「え、あ、その…ごめんね七恵。 つい興奮して… 可愛すぎる七恵がいけないと思うわ」 「な、興奮って…あれ、」 ふと、気にもしなかったこのはが頭につけてる緑のカチューシャに目が奪われる。 どこにでもあるカチューシャ、白いロゴで何かのブランド名らしきものが縫われていた。 「そのカチューシャ…」 「え?これぇ? 可愛いでしょう…このカチューシャはね、覚えてないと思うけど七恵が私に選んでくれたのよ!嬉しいわぁ…七恵が私に…」 「…選んだ…」 一瞬七恵のなかで、違和感を覚える。 途切れ途切れの記憶、思い出すと頭痛がするがそのなかではっきりとしたものが七恵の脳を揺さぶる。 「あのとき…買わなかった…このは…」 「…あはは、やぁだ。 なんで?そうおもったのー? ここに来る前の、記憶まったくないんでしょ?わかるはずないじゃない…わかるはずが。」 「う、ん…そうよね…このはさんのことも覚えていないのに…私いったいなんで…早く思い出さないと…」 「いまは、思い出さなくていいよ」 色のない声が遮る。 七恵は、このはが見たこともない歪んだ表情に大事な何かを、忘れてる気がした。 イマハ、 オモイダサナクテ、 イイヨ、 それは、どこかで見覚えのある台詞だった。 思いだそうすると、また頭痛が先にくる。 「どうして私…思い出さないの…」
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