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鍵を開け、窓を開け、尊の顔を確認する。
「どうしたの?」
「否、いつもの時間に来ないから……何かあったかなーって」
そう言われて見上げた時計は、夜の10時半過ぎ。
「あ……ちょっと考え事してて……」
と、言いながら尊を部屋へと招き入れる。
「そうなんだ。ま、別に何にもないならそれでいいんだけど」
そう言いながら私の勉強机の椅子に腰掛ける尊。
「浩介の事、考えてた?」
唐突に発せられたその言葉に、思わず動揺する。
「違うよ。浩介の事なんて、考えてない」
嘘……考えてた。
「何で嘘つくの?蒼、分かり易い」
そう言ってクスクスと笑う尊。
そんな分かり易い私の気持ちに、何年も気付かなかったクセに……。
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