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「蒼にはちゃんと話しておこうと思って」
そう言って微笑む尊は、この上なく幸せそうな顔でこう続けた。
「蒼のクラスの市村舞華(マイカ)分かる?」
私の脳裏に浮かぶ市村舞華は、黒髪ロング、お嬢様系の小柄で物静かな女の子。
「彼女と付き合ってる」
いつの間に?
何て言えるはずもなく、私はその言葉に『うん』と頷くしかなかった。
もう惨め過ぎて落ち込むのも馬鹿馬鹿しい。
毎日こんなにも尊の側にいるのに、やはり私は恋愛対象にはなれないのか。
情けなくて……泣く気にもなれない。
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