第1章 ~それぞれの想い~

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山の頂上という事もあって、学校に通うのは辛かったけれど 愛が溢れる時間を過ごした。 それも数年前、戦争の開戦で空爆にあい祖母も亡くなった。 それから、そこに何の身よりもない宮司のいる森に目をつけた国が、死体を置き去りにしはじめた。 杜の宮司、天宮 祐樹(あまみ ゆき)15歳。 麓の人達が様子を見に来てくれていたが、もう、死臭の立ち込めるこの森では、入る気にもなれなくなった。 所詮、他人の子ということか。 数年に及ぶ子どもによる自給自足生活。そろそろ耐えられなくなってきた。 口減らしといえども、動ける人間はいる。 自給自足の作物を食べられてしまう。 水を飲みたいと思う者は川を目指す。 そして、ひとくち飲むと息絶える。 生きる為に、少年は死体を出来る限り害のない所へ捨てに運びにいった。 畑も、川も、社も、参道も放置するには衛生的に悪かったからだ。
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