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今日も、天宮 祐樹は死体を山の下の方へ運んでいた。
「だれか、そこにだれかいるのか?み、水を・・・」
神職として認められている自分が、何も出来ず、不甲斐なさが募った。
声に応えてしまえば・・・
目頭が熱くなる。
心の中で、ごめんなさいと
呟くように何度も唱えながら死体を運んでいった。
通り過ぎる、まだある命に対しても。
押し車を止め、祐樹は右手で陰を作りながら、天を仰ぎ見た。
神よ・・・・・これが、あなたの望まれた世界なのでしょうか?
楽しく過ごした平和な世界に戻せないのでしょうか?
家族で過ごした、あの暖かくも美しい日々を取り戻すことは出来ませんか?
誰も、傷つくことのない世界にできないのでしょうか?
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