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この時間だと始業式には余裕で間に合いそうだな。
少し寄り道して行くか。
そう思い、チャリの進む方向を変える。寄り道する場所は探偵科の専門棟。ちょっと申請しなくちゃいけないことを思い出したんでね。
「おや、始業式の会場はそちらではありませんよ?」
探偵科の専門棟に近づいてきた辺りで声をかけられた。
チャリを止め、振り返るとそこには1人の女の子がいた。
制服は武偵高ものだが……胸元が高校生らしからぬ大きさをしていた。
(で、でかい…!)
つい探偵科のクセで相手の身なりを確認してしまったのが失敗だった。慌てて目をそらしたが……
じわっ。
体の芯に血液が集まっていくような感覚がしてくる。
や、やばい。この状況はマズイ!
「ちょ、ちょっと用事がありまして。終わり次第向かおうかと」
なるべく目を合わさないように話しかけてきた女の子に答える。
「そうだったのですか。それはすいませんでした。では遅刻しないようにしてくださいね?」
「あ、はい。どうもでした」
……。なんとか大丈夫だったみたいだな。この場での最悪の事態は避けられたな。
相手の女の子に軽く会釈をし専門棟へ再びチャリをこぎだす。
あの喋り方からすると先輩っぽかったがそれはない。
東京武偵第二高校は俺が入学した時に新設された。なので先輩は1人もいない。今は1年生と2年生だけがこの学校にいる。
先輩がいないっていうのは良い感じに聞こえるがそんな事はない。
今俺が申請しに行く戦妹(アミカ)の事もそうだか上がいないとつらいっていうのは実際ある。学ぶ相手がいないって事だからな。
まぁそれはともかく、つまりあの黒髪ロングのとても綺麗な人は同い年か年下になる訳だ。
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