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少し急ぎながらチャリをこいでいると前方にある建物から1人の女の子が出てきているところだった。
この建物は……強襲科かよ。
強襲科のやつにはあんまりかかわりたくないからな。
この時間にここにいることも珍しいが遠くから見てるとどうやら俺と同じで始業式に向かうようだが周りに自転車などは見当たらない。ちょうどタクシーやバスの通る時間でもないのでこの子は遅刻確定だろう。
俺も遅刻したくないんでね。ごめんよ。
「はぁ。ん?あ、そこの人!お願い私も乗せてって!」
は?こいつなに言ってんだよ……。
乗せてって……そんなことしたらまた危険事になるだろうが。
そのままシカトも良くないのでチャリを止めその子を見たがなかなか可愛い外見をしてる。いや、正直かなり可愛いと思う。
茶色の髪の肩までかかるセミロング。雰囲気や目元はクールな感じだ。
「本当はこんな事頼みたくないのだけどしょうがないわね。早く向かいましょう」
ちょっと待て。こいつはもう乗せて貰えると思っているのか?しかもいつの間にかもう俺のチャリの後ろに座って陣取ってるし…。
「ちょ、ちょっと待てよ!何勝手に座ってんだよ。俺は載せるなんて一言も……」
「仲間を信じ仲間を助けよ」
クッ、ここで武偵憲章かよ……
武偵憲章は国際武偵連盟 (IADA) が発足時に作成した「武偵の心得」の事だ。
いまこいつが言ったのはこれの1条。
「私たち同じ武偵高の仲間でしょ?それとも私のことは助けられない?」
まじかよ。朝から変なのに捕まったな……
でもこうしてる時も始業式は待ってくれない。
「ったく……わかったよ。でも必要以上に近寄らないでくれよ?」
こいつは一瞬おかしな顔をしていた。まぁそうだろうな。正直こんな可愛い女の子に近寄るななんて言う男はいないからな。
でもこっちにも事情があるんでね。
俺は後ろにちょこんと座るのを確認すると再びチャリをこぎだした。
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