約束の世界から

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「拝啓、村橋武さま、作者です。お元気ですか……?」 「……ラブレターですか、先生」 「学校宛に届いたんだよ。先日、物語の主役ならびに語り手をお願いしましたが、台本を大きく外れることなく順調にページを進めさせて頂けることに、大変感謝いたしております」 「へー、俺らの作者って、意外と丁寧な人じゃん」 「キャラ至上主義だとは聞いたことあるけど」 「誰に?」 「藤倉昭人くん」 「あ、同じ学年の男子じゃん」 「あの子も主役をやってるそうなんだよ」 「ふーん、話したことはないな、たぶん」 「私が新シリーズで主役をするって聞いて、心配して声かけてくれてね。彼は台本渡されて、何か途中で反抗したんだって。こんなのおれじゃない、って。そしたら作者が、いいよ行けって、ゴーサインくれたんだって」 「修正しなかったのか……、ある意味すげえな」 「キャラ至上主義だから大丈夫ですよって言ってくれてね。最初は緊張したけど、慣れてきたよ最近は」 「今度、機会あったら声かけてみよう」 「……完全一人称という、作者初の試みをさらに深めるため、今後は大まかな台本のみで、ストーリーの牽引を全てお任せすることを……待て作者、気は確かか!!」
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