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「……ずいぶんと綺麗な。ロマンチストだね、君は」
「ありがとうございましたー!!」
スタッフの間で拍手がわき起こった。
「照れ死ぬかと思ったよ、……まったく」
「先生、本気で綺麗でした」
「二度とやらないからな!」
腹いせみたいに、枕元の星を投げてよこす。
「これ、記念にもらって部屋に飾っておきます」
先生と同じように口づけて、青い浴衣のあわせ目に挿した。
「好きにしたら?」
スタッフから受け取った上着を羽織っている。
「先生、これから何か予定あります?」
「アパート帰って寝る」
「俺と?」
「俺様はご遠慮下さい」
「……ですよね。……え?」
星をひとつ、俺の唇にくっつけた。
「じゃ、これだけ貰っていく」
「……はい」
立ち去る先生の背中を見ていると頬が熱くて、胸の奥が、変な音をたてる。
待って、と後ろから腕を取った。
「そこまで一緒に」
織姫が、離れるのを嫌がってるみたいで。
「着替えるから待ちなさい」
「俺も!」
「君はいいんじゃない?」
浴衣、似合ってる、とささやかれた。
彦星が言ったみたいに。
「牛は無理がありましたけどね」
「……蒸し返すなよ、嫌な男だな!」
織姫でも彦星でもなくていい。
先生が、好きだ。
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