始まりはある日突然に、というものですよね

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「本当だ。 何か変な形だね」 結衣が私のアザを見て言う。 「だよね?」 何と言うか、バットマンのエンブレムがいくつも重なっている、といった感じの形だ。 ちなみに息子にも私と同じく、産まれつき右腕に同じような形のアザがあるので、気にはなっていた。 マルリスさんも私のアザを見ている。 「ありますね。 それは、前世のあなたの血筋に関係していると思いますが、すみません、私にはよく視えませんでした」 「えー! じゃあ、わからないということですか?」 私よりも先に、結衣が聞く。 「はい、申し訳ありませんが…」 マルリスさんは、下を向いてしまった。 「あの…小さい時からよく見る夢があるんです。 もしかして、何かのヒントになりますか?」 私は、今朝も見た夢の話をした。 話を聞き終えたマルリスさんは、難しい顔をしている。 結衣には話したことがあるので、ああ、あれね、といった様子だ。 「申し訳ありませんが、視えないので何とも言えません。 おそらく前世のあなたが関係しているのかも知れませんが、やはり断言は…」 マルリスさんは申し訳なさそうに言う。 「わかりました。 視えないのでは仕方がありませんね」 私は最初から期待していた訳ではないので、さっぱりとした調子で言う。 視えないし、占いもできないのならば、どうしようもない。 「たまに私の能力と相性が合わない方がいらっしゃるのですが、そういう方の前世はもちろん、占いでも視えないので、多分あなたもそうなのかと… せっかくお越しいただいたのに申し訳ありません」 マルリスさんは、俯きながら言った。
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