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「残念だけど、仕方がないね。
じゃあ帰ろっか」
結衣はそう言って立ち上がる。
「うん、ありがとうございました」
私も立ち上がった。
部屋の脇には、小さなレジがあり、その周りには、アクセサリーや携帯ストラップ、パワーストーンなどのグッズが綺麗に並べて置かれている。
見てみると値札が付いているので、販売しているようだ。
「あ、かわいいね」
結衣は、ピンク色系統のパワーストーンを組んで作られたストラップを手にする。
「お二人一緒に占いができなかったお詫びに、良かったら差し上げますよ」
「わあ、ありがとうございます」
マルリスさんの言葉に、結衣は喜んで手にしたストラップをレジへ持っていく。
「お友達にはこちらを…」
そう言って、マルリスさんは、私に細いチェーンの付いたペンダントを差し出した。
私は受け取ってよく見ると、親指程の大きさの長方形をした銀色のプレートの両面に、何か文字や記号や紋様のようなものが細かくびっしりと刻まれている。
「これは?」
文字や記号は見たことのないものだ。
私はマルリスさんに尋ねる。
「これは特製のお守りです。
危険から身を守ってくれます」
「えー、私もそっちの方がいいな」
「これは、私の能力と相性が悪い方に合わせて作っていますので、他の方には効果がないのです。
ごめんなさいね」
欲しがる結衣に、マルリスさんは、微笑んで言った。
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