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「お代はお一人分で結構です」
財布を取り出す私たちに、マルリスさんは告げる。
「え、でも頂き物もしましたし」
このペンダントはちょっと高そうだし、と思って私は言う。
「いえ、ここまで足を運んでいただいたのに占えませんでしたから」
「じゃあ、すみません」
結衣が会計を済ませて外に出ると、マルリスさんが扉の外まで見送ってくれた。
「ペンダントは身に着けてくださいね。
ありがとうございました」
一礼をするマルリスさんに、私たちは会釈をしてその場を後にする。
「やっぱりちょうどお昼だね。
この上のお店で食べていこうよ」
「うん」
結衣の提案通り、私たちは地下一階の洋食屋へ向かった。
店内に入って席につき、注文を済ませて待っている間に、私たちは先程の前世占いについて話す。
「結衣は前世から同じ人と結婚したかったなんて、何だかロマンチックだね」
「でも心中でしょ?
今の私だったら、いくら好きな人とでも考えられないけれど、やっぱり時代なのかな?」
「身分違いの壁は高かったのかも知れないね」
「まあ、今が良ければいいんじゃない?
やっぱり前世はあくまでも前世で、今が大事だよね。
私たちがラブラブなのは変わらないってことよ」
「はいはい、わかってます」
結衣の夫婦は本当に仲が良くて、いつまでも新婚さんみたいな感じだ。
結婚して何年も経っているのに、その新鮮さが保てるのは、うらやましいというか、ある意味凄いと思う。
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