始まりはある日突然に、というものですよね

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今日は友達の結衣(ユイ)に誘われていて、一緒に占い師の所へ行くのだ。 結衣は占いが大好きで、何かと占いに頼りたがる。 今回は何でも、前世占いだとかで、結衣は興味深々だ。 私は正直あまり興味がないので、付き添いだけのつもりだったが、結衣の「やろうよ!」に負けて予約を取ってしまった。 この夢の意味がわかるのだろうか? あくまで占いだから、過度の期待は禁物だ。 でも特に占って欲しい事もないので、聞いてみてもいいとは思う。 「竜也(リュウヤ)は?」 「起こしてくるね」 夫に言われて、高校生の息子の部屋のドアを叩く。 「竜也!起きなさーい!」 息子は高校一年生だ。 朝は弱くて、自分一人の力で起きてくる事は少ない。 「遅刻するよー!!」 ドアをドンドンと叩いて、一応返事が聞こえたのを確認してから、キッチンへ戻った。 もう一人分のコーヒーとベーコンエッグとトーストを用意していると、竜也が起きてきた。 「おはよう」 「おはよー…」 竜也はパジャマのまま脇腹をボリボリと掻きながら、自分の席に着いた。 髪が伸びきってボサボサで、寝癖がひどくついている。 いい加減に切りに行くように行っているのだが、全然言う事を聞かない。 親の贔屓目を除いても、そんなに悪い顔ではないし、背も低くはないから、キチンとすればそこそこ男前になると思うのだが、本人が無頓着なため、残念な事になっている。 せっかくならば、カッコよくなろうとする努力をして欲しいと思うのは、親のエゴなのだろうか?
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