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ジャー!と水道から流れる水を飲む……
「ふう~」
キュッと蛇口を閉めると、顔をあげ目の前の窓に映る自分を見る。
「いっつつつ……謝ってるのに叩くんだもんな~……まぁ叩くか……」
僕の左頬はさっきの女子に叩かれた為、真っ赤になっていた。
「向こうが走ってる集団の前に飛び出してきたくせに……怒りたいのは僕の方だよ……」
☆廊下は走ってはいけません。
トボトボと教室に向かって歩く……
左頬を叩かれた痛みと、BLTを買えなかった痛みで半分泣きそうだ……
「どうしたの?下を向いて歩いて……」
「え………?」
かけられた声に顔をあげる……
そこには……
「結衣……」
僕の彼女……真城結衣がニコッと笑って立っていた。
「左頬……赤くなってるけど……」
僕の左頬に向けて手を伸ばしてくる結衣に僕は何でもないと苦笑いで結衣の手を避ける。
「な、なんでもないよ!本当に!ただ目当てのパンを取り合っててちょっと叩かれただけなんだ!アハ、アハハハ~」
「怪我するほど取り合い酷いの?これは問題ね……風紀委員と話し合って……」
真剣な顔で考える結衣に僕は慌てて首を振る。
「違う!違うよ!僕が強引に入って行ったからたまたまぶつかっただけなんだ!うん!アハハハハ」
なんとか嘘を言って取り繕う僕……
そうだった……結衣は生徒会長だった……
結衣の権限でパンの購買を禁止することだってできるのだ。
僕の一言でそんなことになったら、それこそ僕は全校生徒の男子を敵に回しかねない……
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