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校門の前にやって来る……
「そこ!名札は!!」
「ネクタイどうして無い!?名前は!?生徒手帳出す!」
「何度言わせるの!?革靴を潰して歩かない!だらしなく見える!」
いつものように校門の前は生徒会役員による生徒指導の声で賑やかだ……
我が校は県内でも有名な風紀にうるさい学校である。
いや、別に学校がうるさい訳ではない。
生徒会がうるさいのである。
『風紀の乱れは人間の乱れ』
なんて、訳わからないモットーを掲げ、昔から生徒会が先頭に立って風紀を取り締まって来た。
言わば昔からの伝統なのだ。
「あ……いけね……校章つけてくるの忘れた……」
僕は生徒会役員達に注意されないように、他人の影に隠れながら校門に入る。
幸い僕は影が薄い……
これは僕の欠点であると同時に特技でもあると言えよう。
生徒会役員の厳しい眼を余裕で潜り抜け、一安心する。
「ほ……」
ホッとした時だった……
「そこの君待ちなさい」
!?
背中から聴いた声に呼び止められ、ギクッとする。
「は、はい、なんでしょう……」
ぎこちなく振り返ると、そこにはポニーテールが揺れる美少女……
真城結衣(ましろ・ゆい)が笑顔で立っていた。
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