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カワイイ……
その笑顔はまるで天使のようだ……
この笑顔も、結衣の記憶が戻るまで……
僕は結衣の記憶が戻るまでになんとか、結衣を心の底から僕を好きにさせないといけない……
記憶が戻っても僕にこの笑顔を見せてもらえるように……
「あ。ネクタイ曲がってるよ」
結衣は僕の前に立つと、曲がったネクタイを直してくれる。
目の前に結衣の髪があって、ドキドキする……
いい匂いがする……
朝のシャンプー娘かな?
スーと大きく鼻から息を吸い込む。
「よし!はいこれでOKだよ」
笑ってポンと僕の胸を押す。
「あ、ありがとう」
「ん。それじゃあ行くから」
僕に背中を向けて来た道を戻ろうとする結衣を僕は呼び止める。
「結衣!」
「ん?」
カワイイ眼で僕を見る結衣……
「あ、あのさ、僕達のこと学校では秘密だから…さ……」
「僕達のこと?秘密って?」
「その……僕達が彼氏彼女だってこと……」
「秘密?なんで?」
キョトンとした眼で僕を見る結衣……
彼氏彼女なんて嘘……
記憶を失っているのをいいことに僕が結衣に刷り込んだ真っ赤な嘘……
だから胸がチクリと痛む……
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