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「すまない。待たせたな。」
「ゆっくりしちゃってすみません。美咲、ごめんね。」
そう言って、部長に支えられながら出てきたゆいの顔は、お風呂の前とは別人みたいに柔らかい表情になっていた。
私はこの時
少しだけ部長に嫉妬した。
ゆいに何かしてあげたくて、
元気にしてあげたくて、
…けれど、
結局何も出来なかった。
それなのに、部長の手にかかったら
ゆいがこんな表情になるんだから。
でも、その後ピザを頼むことになった時、
ゆいは私に飛びついてきて
「美咲、どれにする?」
「美咲はこれ好きでしょ?」
「これ、美咲と食べたかったんだ。」
「美咲」
「美咲」
「美咲」
私の名前を何度も呼ぶゆいに、
つまらない嫉妬だったな
って、思ったの。
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