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二年間、高校に入学してからずっと付き合っていたヤツを病院にムリヤリ入院させた。
病室を出る際、「なんだ、ボクの傍にいてくれないのか?」と言ってきたが、タクシーの中でコイツが言った言葉が俺の胸の中にあった。
「寂しがるなんてお前らしくないな。どうしてもというのなら、添い寝でもしてやろう」
「――お前に普通を求めたボクがバカだった」
ため息をついてそっぽを向いてしまった可愛いヤツに背を向けて、俺は早足に病室を出た。
先ほど乗ってきたタクシーはさすがにもういないため、走ってマンションまで向かう。全力で走って五分ほどで着く距離にあるマンションは、ヤツの親が遺したモノだ。
高校に入学した際に、親は死んだと聞かされた。それからその話をすることはなかった。
いくら俺でも深く詮索することは憚られたし、それ以上に気にしない素振りをヤツが貫いていたから俺も気にしなかったのである。
息切れしながらたどり着いた部屋の前。焦る俺の手は鍵を開けることすら困難にさせた。
正直、今になって実感が湧いてきたのだ。自分がした行動は、きっとこれから生きる人生でもっとも大きな正解だったということに。
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