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暗い空の下、あちらこちらで刀の交わる音が辺りに響き渡る。
私は総司様一人とだけど、他のみんなは何人も相手にしているようで大変そうだ。
「うわあっ!」
「篠原さんっ!?」
「だ、大丈夫だよ!」
よ、良かった……。死んじゃったかと思った……。
「橘。人の心配してる場合じゃないでしょ」
「くっ!」
総司様の言う通りだ。他の人を気にしたり、ましてや助ける程の余裕は私にない。
総司様の相手をするだけで精一杯なのだから。
的確に手元や足元などを狙ってくるから、バランスを崩したり下手したら刀を落としてしまいそうだ。
「総司様! 本当に御陵衛士の人達はっ!」
「近藤さんの敵になるような奴等、信用出来ないから」
「聞いてくださいっ! 話し合えばまだ間に合いますっ!!」
「無理でしょ。この状況じゃもう……無理だよ」
一瞬、総司様が悲しそうな顔をする。その表情が示すものは何なのか。
私は、一人でも失いたくない……。そうだ! 平助君! 平助君はっ!?
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