第1章

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「……新撰組が幕臣に取り立てられたそうですね。ですが、僕は抜けたことに後悔はしていません」 みんなの前でそう言い切るのは、伊東さん。 1867年 6月 新撰組は近藤さんの念願でもあった幕臣になったらしい。 ”らしい”という曖昧な表現になってしまう理由はただ一つ。 「我々、御陵衛士は……こちらはこちらの働きをするのみです」 「流石は伊東先生! 幕臣が全てではないですよね」 そう言ったのは篠原泰之進。 ご機嫌取りなのか本心なのかは知らない。 みんな元気かなぁ……。総司様は大丈夫かな? 「桃、ボーッとしているが大丈夫か?」 「一様! はい! 大丈夫ですよ!」 土方さんからの命を受けて、私と一様は伊東一派に間者として潜り込んだ。 元から伊東さんが私を気に入ってたこともあり、簡単に取り入ることが出来た。 そして、少し遡ること1867年 4月 一様と平助君の二人の幹部と私は新撰組を抜けた。 年明けに崩御した孝明天皇の墓を守る組織、御陵衛士として。 ここで気を許せるのは一様と平助君のみ。 ずっと、そう思っていた。
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