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「待って! だって、伊東さんは悪い事なんて……!」
「もう一度だけしか言わない。橘はこっち側だ」
聞く耳を持たない総司様。だけど私に篠原さん達を斬れるはずがない。
みんな優しかったし、伊東さんの言葉を聞いて御陵衛士が悪くないって事だって知ってしまったから。
「一様に聞いたらわかるはずです! 伊東さんは何も……!」
「一君が見つけたんだよ。御陵衛士と薩摩繋がりを」
「そ、そんなの何かの間違いです!」
死に際に伊東さんが嘘を言ったとは思えないし、あの言葉も本当だと信じたい。
「……橘は感化されやすいからね。こうなったら仕方ない」
「っ!!」
咄嗟に刀を抜けば、総司様の刀の切っ先は寸でのところで止まって。
もう少し抜くのが遅かったら、斬られていたに違いない。
……私が、総司様に勝てるとは思えない。でも勝てば止められる可能性がある……!!
「力づくでも止めます」
「橘じゃ僕には勝てないよ。恋仲でも何でも、手加減はしないからね」
キンッと鉄のぶつかり合う音。
絶対に負けるわけにはいかない戦いが始まった。
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