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「本当に母さんなんだな・・・」
浩二が目の前にきて呟く、とりつかれているとはいえ悪霊になろうとしている霊が母親だとは、にわかに信じられなかったのだったが、霊の首にかかっているペンダントをみて確信したのだった。
それは結婚記念に父親から贈られたものであり、葬式のときに父親が棺に納めたものであった。
「かぁさん、俺の事覚えている? 息子の浩二だよ」
浩二が詰め寄ると、周りの悪霊達が手の形をとって掴もうとするが光のモヤに弾かれる。
その時の衝撃に顔を少し、しかめるがまた話しかける。
「幼稚園の遠足の時の弁当の事覚えてる? 傑作だったよねお父さんの弁当箱と間違えてもっていっちゃってさ、お昼に弁当箱開けたら海苔で"がんばってね!"て、書いてあったよね、組のみんなにわらわれちゃったけどすごく嬉しかったよ」
浩二が楽しげにそう喋ると、周りの悪霊達がもがきだしいっそう激しく襲いかかる。
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