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とある山奥の河川。
トキのサクとカワウのレミの凸凹コンビは、腹ごしらえに魚のヤマメを採っていた。
「あー!そこそこそこ!!」
トキのサクが、つぶさに川の中を見定めて泳いでいるヤマメを手当たり次第に突っついてる姿を、カワウのレミが石の上で羽繕いしながら眺めていた。
「あ、今だ!!惜しい!うーん!駄目だなあーー!!
お前、ゲージ暮らしじゃ魚はその場で人間がくれるんでしょ?
そうだろうな!魚とりがドヘタだと思った!!」
カチン
トキのサクは、野次を飛ばしたカワウのレミをキッ!と睨み付けた。
「♪♪♪」
カワウのレミは、そっぽを向いて嘴で口笛を吹いてしらを切った。
「おい・・・お前・・・僕はゲージでな、人間に外へひとりで暮らせるようにトレーニングされてたんだよ・・・
お前のように、生まれつき魚とりが得意じゃねえんだよ!」
トキのサクは、赤い鶏冠をもっと赤らめて顰めっ面でいい放った。
「あん?俺だってな、雛から親にいっちょまえのカワウになるために魚とりの訓練されたんだよ!
お前のように、人間の虜にならずにな・・・!!この近親相姦!!」
カワウのレミは声をあらげて言い返した。
ブチッ
トキのサクの堪忍袋の緒がブチキレた。
「僕は好きで近親相姦で産まれて来たんじゃねえ!!このみなしご!」
「みなしご?おい!俺は好きでみなしごになった訳じゃねえ!!
傷ついたからな!その言葉!!もう許せねえ!!」
「やる気か?あ?」
「ふざけんな!!」
バサッボカッスカッバサッボカッスカッバサッボカッスカッバサッボカッスカッバサッボカッスカッバサッボカッスカッバサッボカッスカッバサッボカッスカッバサッボカッスカッバサッボカッスカッバサッボカッスカッ!!
遂に、トキのサクとカワウのレミは大喧嘩を始めた。
バサッボカッスカッバサッボカッスカッバサッボカッスカッバサッボカッスカッバサッボカッスカッバサッボカッスカッバサッボカッスカッバサッボカッスカッバサッボカッスカッバサッボカッスカッバサッボカッスカッ!!
翼で殴り、脚で蹴飛ばし、頭突きをお見舞いし、嘴で突っつき、
2羽の大喧嘩は熾烈を極めた。
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