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「こんばんは」
街灯の多い夜の街。
くたびれたスーツとくたびれた男。
マフラーを巻いた女子高生。
「こんな時間に女子高生が一人で出歩くもんじゃないよ」
ぬるい缶コーヒー。
「あたしのこと待ってるくせに」
吹く風は冷たい。
「何もしなくてもお金貰えるなんてステキ~」
無駄に少女趣味な部屋。
「おじさんこの部屋似合わないね」
無駄に大きなベッド。
「まだ20代だよ。ていうか君が選んだ部屋でしょ」
けたけた響く笑い声。
「別にエロいことしてもいいんだよ~?他のおじさんたちはみーんなそんなんだしね」
ベッドに寝そべる女子高生。
「俺は君との時間を買ってるの。女子高生なんだから体を大事にしなさいよ」
ただ腰掛ける男。
「おじさんかっこいぃ~」
微かな煙草の匂い。
「お腹、何ヶ月なの」
苦くて甘い匂い。
「……おじさんやっさしぃ~」
大きくて安っぽいベッド。
埋まっていく灰皿。
くたびれたスーツと疲れた顔。
ショートカットと白い肌。
女子高生と膝枕。
流れる時間。
朝の光。
「堕ろすの?」
冷たく澄んだ空気。
「まぁ……誰のか知らないし」
人のいない街。
「あたしの存在って何だろう」
鳥のさえずり。
「俺に安らぐ時間をくれる人」
二つの影。
「……なんかやだ」
手を繋いで歩く時間。
「淋しくなったらいつでもおいで」
少しだけ優しい時間。
「おじさんが淋しいくせに」
微笑みは光に透ける。
「まぁね」
別れの合図。
「コーヒーは温かいのがいい」
繋いだ手は
「わがままだなぁ」
離さなきゃいけない。
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