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「そう。
あ、先生!!」
栄太郎は誰かを見付けると、私を背負ったまま走って行った。
揺れが大きくなって栄太郎の着物をギュッと掴んだら、栄太郎は走る速さを緩めてくれた。
「あぁ、ごめん。
速かったかな?」
「大丈夫だよ?」
私が笑えば、栄太郎は鼻を軽く摘んできた。
「無理に笑わない!
君は普通に笑って良い年頃なんだから……」
語尾の方が小さくて聞き取り辛かったけど、私は頷く。
すると栄太郎は、私を前で抱っこするとふわりと頭を撫でてくれた。
……栄太郎の手は温かいな。
「栄太郎、その子は誰ですか?」
私が頭を撫でてもらっていると、誰か大人な男性が話しかけてくる。
凛としていて、知的な感じの人だなぁ……。
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