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「どうかしたのか?」
考え込んでしまったせいで足が止まってしまった私に気付いて原田が声をかけてくる。
私は、地面を見つめていた。
「……ちょっと寄り道して良いよな」
原田はそう言うと私の返答をまたずに私の手を掴み、走り出す。
「っ、何処に連れて行くつもりですか!?」
「良いから、良いから!もう少しで着く」
そう言って原田が連れてきた先は人があまり居ない川辺だった。
川辺には緑の草が一面に輝いていて、花も咲いていた。
綺麗な川には小魚が泳いでいる。
「……綺麗」
「なら良かった。
此処をずっと見せたいと思ってたんだ」
そう呟き、私の手を握る力を少し強めた原田の顔を見上げる。
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