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優しく瞳を細めながら告げられた内容は、ただの夢物語で叶うはずもない夢だけどそれを願う私が居る。
松陰先生も稔麿、玄瑞に九一も皆がまだ生きていて、私は原田と生きる道を選ぶ。
そんな事が出来たらどれだけ幸せなのだろうか。
決して叶うことのない願いに想いを馳せる。
「なぁ雪華……お前は俺と生きてくれるか?」
こんなにも私を愛してくれる貴男と同じ思いを抱く私が返す言葉一つだけ。
「この命尽きるまで、貴男と共に──」
次の瞬間、私の視界は原田で埋め尽くされた。
「……ん、ふぁ」
口付けされていると気付くまでに少し時間がかかった。
口の隙間から自分の物で無いかのような甘い声が漏れる。
「雪華……愛してる」
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