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原田と恋仲になってから早数月。
暑かった夏はとっくに過ぎ、今は睦月。
あれから伊東甲子太朗と言う者が入隊し、屯所内の雰囲気も大分変わった。
思想を持つ者が増え、各々の志す物の違いが見えてきて屯所の中は少しピリピリしていた。
雪の降る日が当たり前の中、今日は珍しく青空が覗いていた為、今は原田と町に来ていた。
「雪華、楽しいか?」
「はい!
ありがとうございます、原田組長」
「馬鹿、二人の時は“左之”って呼べって言ったろ?」
頭を小突かれながら耳に届いたその言葉に頬に熱が集まるのを感じた。
「す、すみません。
まだ癖が抜けなくて……」
「まぁ良いさ。
まだこの先、何年もあるんだ。ゆっくり慣れれば良い」
「~ッ、はい……」
何年もある……その言葉にまた照れてしまう。
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