60人が本棚に入れています
本棚に追加
/87ページ
晋作はそう鼻で笑うと血濡れの刀を払い、鞘に戻し歩いていく。
「っ、待て!!」
そう叫び、晋作を追おうとする左之さんの着物の端を掴む。
駄目、追っては駄目。
左之さんが居なくなってしまうのは嫌……。
今の晋作は、危ないから。
過去に捕らわれていて、周りが見えていないから。
「っ、何で止めるんだよ雪華……」
「だ、め……ですよ。
傍に……居て、下さ、い」
息が荒く、途切れ途切れになってしまう。
でも、まだ……左之さんに伝えたい事が沢山あるんです。
「左、之さん……もっと、近くに」
「喋るなよ!
今、医者に……!!」
左之さんは私を横抱きにすると、医者の家に向かって走り出す。
喋るなよって言われても、まだ伝えたり無いことが……。
もうこれで最期だから、聞いて下さい……。
最初のコメントを投稿しよう!