願わくば

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晋作はそう鼻で笑うと血濡れの刀を払い、鞘に戻し歩いていく。 「っ、待て!!」 そう叫び、晋作を追おうとする左之さんの着物の端を掴む。 駄目、追っては駄目。 左之さんが居なくなってしまうのは嫌……。 今の晋作は、危ないから。 過去に捕らわれていて、周りが見えていないから。 「っ、何で止めるんだよ雪華……」 「だ、め……ですよ。 傍に……居て、下さ、い」 息が荒く、途切れ途切れになってしまう。 でも、まだ……左之さんに伝えたい事が沢山あるんです。 「左、之さん……もっと、近くに」 「喋るなよ! 今、医者に……!!」 左之さんは私を横抱きにすると、医者の家に向かって走り出す。 喋るなよって言われても、まだ伝えたり無いことが……。 もうこれで最期だから、聞いて下さい……。
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