エピローグ

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 元気玉できそうなぐらい、あたしは身体中の勇気を集めた。  勢いよくバーのドアを開ける。彼が視界に入ると、足がガクガクになった。  景気づけに、モスコミュールを飲み干す。  少し気分が高揚してきたところで、あたしはいよいよ席を立った。  緊張で手痺れてる。  大きく深呼吸しながら一歩一歩彼に近づいていく。  いきなり声かけたら、彼はどんな反応するんやろ。  喜ぶんか怒るんか……?  無視って可能性もある。  それでもあたしは信じたい。  この一歩から何かが変わるんやって。 「望月くん、やんな?」  ゆっくりと彼があたしを見る。  漸く彼の視界に入れた。  でも、目が合った瞬間、あたしは魔法にかけられた。 「何で知ってるん……ですか」  初めて言葉を交わして確信した。  あたしはきっと、彼をもっと好きになるって。   END
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