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あれから、夕弥の頭の中は朝生澪でいっぱいになってしまった。
出会った夜のキスと新城に抱きしめられている姿。それが交互に頭の中を飛び交っては消える。
そのせいか、今まで同じ会社にいたって顔も名前も知らなかったというのに、やたらと彼女が目に付くようになっていた。
決して探していたわけではない。寧ろ避けているのに、気が付くと部署も違うはずの彼女が近くにいて、目が合ってしまう。
目が合うと彼女が思わせぶりに微笑む。
そんなことが続き、夕弥の中には朝生澪という女への不信感が募っていく一方だった。
もう会いたくない。彼女にも、新城課長にも。
そう願うほど、接触する機会が増えてしまうのが意地悪な世の常だったりする。
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