三日月

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「望月君、悪いけどこれ先方にメールしといて」  今朝も早速、新城に仕事を頼まれた。  いつもと変わらぬ爽やかな新城の笑顔が歪んで見えるのは、自分の心が屈折しているからだろうか。  商社に勤めているのだから何も驚くことではないが、新城は英語だけでなく中国語とフランス語も堪能だった。  夕弥もかろうじて英語だけはできたが、新城と違って話す機会が圧倒的に少なかったのでとても流暢とは言えなかった。  何をとっても、どこを比べても新城琢磨に勝てるところなんてない。  天は二物を与えないなんて嘘だ。新城を見ると、夕弥はいつもそう思った。  そして、無性に腹が立った。  こんなに立派な恋人がいて、朝生澪は一体俺に何を求めたのだろうか、と。  どうせマヌケな男をからかって暇潰しをしたにすぎないのだろう。  悔しいが、それが想像しうる妥当な結論だった。
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