三日月

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「ほな、夕弥くん手伝ってくれる?」 「へ?手伝う?」 「うん。一緒に入って洗ってよ」  すっかり気を抜いていた夕弥は、心臓をぎゅっと鷲掴みにされた気分になった。  頬がカァッと熱くなる。 「いや、それはちょっと……」 「あら、夕弥くん顔真っ赤やで。どないしたん?あ!なんかエッチなこと考えたやろ?」 「か、考えてへんし」  力の限り否定したが、実際は考えていた。 「フフッ。夕弥くんのエッチー」  からかわれると余計に恥ずかしくて顔が熱くなる。 「もうええから、早よ帰りや」  照れを隠すように、強い口調で言う。 「えっ、いいの?帰っても。澪の裸、見たくないん?」  わざと自分の服の裾を掴み、脱ぐような仕草をして澪は挑発的に言った。  なっなんでやねん!  ちょっと見たいけど……。  上機嫌で帰って行く澪の背中に夕弥は呟いた。
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