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「おはよう、望月君。ちょっとええかな?」
翌日、会社で朝一番に会ったのは新城琢磨だった。
夕弥は「はい」と消え入りそうな声で返事をしながら、罪悪感でおかしくなりそうだった。
「この契約書のことやねんけど……」
中国側に送る契約書のことで、新城から指示を受けていた。
時折見せる新城の笑顔が朝陽のように眩しくて、夕弥は思わず目を背けそうだった。
彼が笑う度、自分が大きな陰になっていく気さえする。
「おはようございまーす」
暫く話を聞いていると、就業時間ギリギリにとびきり大きな声がフロアに響いた。
声の主に、息ができなくなる。
「おはよう。あれ、どないしたん?それ」
早速、新城が澪の左手の異変に気が付いた。
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