新月

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 言葉では言い表すことのできない奇妙な空気に包まれて、二人は暫くそのまま見つめ合っていた。 「あたしと望月くん、肌が合うんかも」  澪の言葉に、夕弥の胸は高鳴った。色んな葛藤が夕弥の頭の中を巡っていたが、澪は手を繋いだまま歩き出した。  何故なのかは分からない。もう、抗うことはできなかった。  木偶のようにぼんやりと黙って澪に手を引かれた。  そして、気がつけば澪のハイツに辿り着いていた。  玄関を開けるなり、靴を脱ぐのも惜しむように二人は唇を貪り合った。  手を繋いだ時とは比べ物にならない衝撃に、澪は立っていられないほど膝が震えていた。  そんな澪を支えるように、夕弥は澪の腰をぐっと抱き寄せた。
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