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「ありがとう」
衛くんの淹れてくれたコーヒーは温かく、冷え切った身体の芯まで温めてくれるようだった。
身体が温まることで緊張がほぐれ、ホッと身体の力が抜けてゆく。
「少しは身体は温まったか?」
私の様子に気づいた衛くんがコーヒーを飲みながら私の向かいに腰を下ろす。
「うん。ついでに酔いもすっかり醒めっちゃった」
笑う私に衛くんもつられて笑う。
衛くんと居て、久しぶりにホッとした瞬間だった。
「ごめん、ビックリしただろ……」
急に謝りだす衛くんに私は何のことだか分からず首を傾げる。
「ユキの事だよ。俺が迎えに行くより断然、近くにいたから、つい頼んでしまったんだ」
ユキ……
あの男の人の事か。
そう言えば、さっき衛くんがそう呼んでいた。
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