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「うん。ビックリしたけど、すごく助かった。あそこじゃ、タクシーを捕まえるの不可能なんだもん」
「確かに……。少し駅から離れてるせいか、夜になると人通りも全然なくなるもんな」
家が近所なだけに衛くんもよく知っている。
「そうなの。それなのにカギを無くして家に入れないなんて……。本当にごめんね。お騒がせしました」
持っていたカップを置き、深々と頭を下げる。
きっと衛くんの事だから部屋に入ることなく外で待ち続けていたに違いない。
証拠にカップを受け取った時に微かに触れた指先がすごく冷たかった。
「いや、俺の方こそ家まで送らなかったから……」
「ううん。それは私が1人でも大丈夫だって言って帰ったんだから衛くんのせいじゃないよ」
私が謝れば謝るほど、衛くんが自分を責めていくように感じ
「そういえば、さっき迎えに来てくれた人って衛くんの友達だって言ってたよね?大学の時の友達?」
私は話題を変えた。
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