340人が本棚に入れています
本棚に追加
気づけばコーヒーも飲み干し、間をもたせる小道具がなくなってしまった。
「身体も温まったし、そろそろ……」
沈黙に堪え切れず、カップを置くと恐る恐る立ち上がる。
「そろそろって……。カギもないのに、どこに帰るつもり?」
サラリと言われ、自分が置かれている状況を思い出す。
「座ったら?」
変な中腰のまま固まる私を軽く笑いながら座るように促してくれた。
―――格好悪いにも程がある……
そう思いながらも、衛くんの言うとおり私には行く当てもなく、恥を忍んで言われるがまま座るしかなかった。
「コーヒーお代わりいる?それともお風呂とか入る?」
予期せぬ衛くんの言葉に驚き、ピンと背筋が伸びる。
.
最初のコメントを投稿しよう!