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「じゃああの女の人は? 統也の元彼女とかじゃないよね?」
「あ゛? んなわけねーだろ。
俺が本気になったのも、女にしたのもお前だけだ」
「じゃあ誰?」
「あー……
お前、あのノリどっかで見たことないか?」
そんなこと言われても、私の周りにいてくれるのは統也に亜紀、篤郎さんくらい。
共通の知り合いは龍皇だけだし、世間体第一の両親や、お嬢様ばかりの中学時代にもあんな人いなかった。
……あの、明るいノリに心当たりがあるとしたら一人だけ。
「亜紀……?」
「あれは俺達の…………母親だ」
「え……?」
どう見ても20代後半か30代前半。
ふわりとした黒髪を横で緩く縛っている華やか系の美人さん。
凜の姉で通用しそうな感じだ。
その人が
「お母さん? お姉さんじゃなくて? 本当にお母さん?」
「ああ。あれで50だ」
詐欺だ。
統也によって髪を梳かれ、ワンピースを着せられ、横抱きにされ。
徹底的に尽くされながら静かに思った。
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